「魚津の人は面白いくらい人なつっこく、ぐいぐい近づいてきてくれます。」
- 年代
- 30~40代
- 職業
- 藍染め屋
- 出身・今まで住んだことのある地域
- 富山市(出身)、大阪府、京都府、オーストラリア
- 移住区分
- Iターン
- 家族構成
- 夫婦子持ち
移住までの経緯
4年前、結婚を機に魚津市に引っ越してきました。
それまでは、富山市、大阪、京都、オーストラリアといろんな土地で暮らしていました。
オーストラリアから帰国し、これからの生き方を考えた時に、以前北海道で体験した藍染めを思い出し、気が付けば徳島へ藍染め研修に行っていました。
その後、藍染め工房を開く夢を胸に秘め、藍染めに関わることを学びたいと、布を扱う仕事に携わっていました。徳島行きから2年という月日が経っていましたが、藍染めをやりたいという気持ちは強まる一方でした。
移住のきっかけ
主人の実家にはきれいな井戸水が溢れ出ていて、藍染めをするには申し分のない環境で、藍染めをやりたいという私の気持ちを加速させました。
私の場合、魚津という土地を選んで移住してきたわけではありませんが、土地との出会いも縁であると思っています。魚津との出会いのおかげで今の自分がいる。運命的なものを感じます。
2015年秋、藍染めの作業場をもち、藍甕(あいがめ)との暮らしが始まり、毎日藍と対話し、慎重に手をかけています。
「自分の好き」「夢」だけでは生活できていないのも事実ですが、私は2人の娘に仕事に対する情熱、本気度、生き生きとした背中を見せていたい。自分自身も悩みながら進んでいる、そんな母親の姿を見せながら一緒に成長したいと思っています。
*「藍」の豆知識
てぬぐい、ふろしき、浴衣など、日本文化に欠かせない藍。
古来から、染料や薬草として日本の暮らしに密接に関わっていました。
戦時中は栽培禁止でしたが、人目を避けて林の中を開墾し、密かにタデ藍の栽培を続け、藍種を収穫する人たちがいました。終戦後すぐに藍の栽培を始められたのは、藍への深い想いと命がけの人がいたからなのです!
(南部さんも魚津市内で、種から藍を育てている。)
*南部さん天然藍染め
〈藍染めの材料〉
すくも(タデアイの葉を発酵させたもの)、灰汁、貝灰、米ぬか、日本酒
住んでよかったこと
大阪に住んでいた時は、灰色のコンクリート(ビル)に囲まれ、たくさんの人とすれ違うけれど、会話をしている人を見かけない、自分も会話をしていないことに抵抗感、さみしさを感じていました。
ところが、魚津の環境はもちろん最高なんですが、魚津の人は面白いくらいに人なつっこく、ぐいぐい近づいてきてくれます。
藍染めを始めたころは、積極的にイベントや、「※SODO(コメソウドウ)」に参加しながら、楽しいことを探していました。そうすると必然的に魚津の人との交流が深まり、交流の場が心地よく、楽しいことが増えてきました。
気が付けば、一緒にいて心地よい仲間が増えていて、あらためて、魚津に住んでよかったなって思っています。
*「※SODO(コメソウドウ)」とは?
魚津で暮らす女性を増やそう!と2016年10月に結成されたプロジェクトチーム。魚津は米騒動発祥の地。生活を守りたいと奮起し、行動を起こした女性たちの歴史が刻まれたこの地で、私たちにもできることをやってみようとの想いから命名し、活動しています。
苦労したこと・していること
うーん…。苦労したこと…。
助けてもらっている感覚です。主人が魚津市出身なので、主人の両親をはじめ、まわりの人たちに助けられています。子どももいるので、とても感謝しています。
あえて苦労していることをあげるなら、藍染めワークショップに富山市、高岡市の方が参加したいと連絡をいただいた時に、場所が魚津市だと伝えると、「遠いな」って言われることです(笑)
移住して驚いたこと
小さな町なので、人との繋がりがどんどん広がっていき、すぐに仲良くなれるところ。主人の両親が魚津に住んでいることもあり、知らない人も私のことを知っている。
娘たちのことも、ご近所のみなさんが見守ってくれていてとても有り難く思っています。「いつも誰かに見られている(笑)=見守られている」って幸せだなって思います。
生活パターンの変化
移住前の生活と比較して変わったこと
「好き」を仕事にしたので、プライベートと仕事の区切りがなくなってしまいました。
以前からですが、藍染めのことを考えない日はありません。
テレビを見たり、ラジオを聴いたりしていても、気になる人がいたら会いに行き、気になることがあったら調べたり…。どこで勉強したらいいのか、どうやって形にすればいいのか、ずっと考え続けています。
魚津に住み続けたいですか?
(即答で)もちろん!
現在、街に住んでいますが、山間部の古民家に引っ越しするか考え中です。こちらの家も、人とのご縁で紹介してもらいました。魚津にきてから、ありがたいことに人との繋がりでどんどんいい方向に進んでいます。
山間部ということもあり、あまり子どもがいないみたいです。ただ、みなさん家を大切にされていて、丁寧な生活をしていると感じています。
そんな中で暮らせたら…考えるだけでわくわくしてきます。
●●●移住者へのアドバイス!●●●
開拓者になれ!!
新しい土地を開拓することで、人との繋がりができ、自分の居場所ができます。そして、自分のことをオープンにさらけだすことで、相手もオープンになって親密な関係が築けると思っています。
平成30年6月 インタビュー